Log House(B)

ゲームの感想を中心にいろいろ書きます。

リメイクで改めて実感したゼノブレの面白さ「ゼノブレイド ディフィニティブ・エディション」ネタバレなし感想

f:id:KEN_GAMER:20200731111651j:plain

RPG界の傑作、ゼノブレイドのリメイクがニンテンドーダイレクトで発表されたとき、嬉しかったのはもちろんなのだけど、同時に感動したのを覚えている。

発売から10年のメモリアルイヤーなのもそうだけど、情報の初出しがこの作品を象徴するようなあの二人のセリフだったのも演出としてよかった。

リメイクあったらいいなぁ、でも流石に10年しかまだ経ってないからな・・・と思っていたから、あの時は息をのんだ。まさか本当にやってくるとは。

youtu.be

自分は既に終わった作品の続編とか、焼き直しとかをあまり好ましく思わない面倒くさいタイプのオタクなので、それが行われることに少し不安がないわけではなかったが、モノリスソフトさんのことだからうまくやるだろう、と思っていたし、PVを見た時はプレイ当時のゼノブレ体験以上のエネルギーをそこからひしひし感じたので、ほとんど心配はしていなかった。

そしてその信用通りにモノリスさんはこのリメイクを作り上げてくれた。感謝しかない。いつもありがとうモノリスf:id:KEN_GAMER:20200731111630j:plain

今作で改めてゼノブレイドというゲームに触れてみると、それがどれだけ丁寧に作られていたのかがよくわかる。特にキャラの作りこみが素晴らしかった。

言動や行動については特にそれが顕著で、とても考えこまれている。言葉では表現しにくいのだけれど、作り手の側がキャラクターの性格とか背景とかから、そのキャラが発言すると思われる言葉を、まるでひとつひとつ正しい場所にパズルピースをはめるように、寸分狂いのない形で置いているような、そんな気がする。セリフをどういう形で、どのタイミングで置くのか、あるいは置かないのか、という判断がとても上手。セリフの「ぴったり感」とでも言おうか。

山上

そんな感じで、シナリオに関しては
高橋さんが考えている世界をどうすれば
よりお客さんに伝わりやすくなるかということを意識して、
客観的に意見をお伝えするようにしていました。

岩田

それはまさに“作家と編集者”の関係ですね。

山上

まさにそう思います。

高橋

やっぱり自分たちだけでつくっていると、
どうしても自分たちの趣味や嗜好する部分が出てしまうんです。
心情だったり、構成だったり、いろんな局面で、
偏った部分を任天堂さんから指摘してもらえたのは
本当にありがたかったですね。

岩田

作家さんは、先鋭的なものを創造する役目で、
編集者さんはそこから一歩引いて、
「これは伝わるけど、これは伝わらないんじゃないですか?」
「それを伝えたいのなら、こっちのほうがよくないですか?」
と言って、その指摘でいい方向に向かうのが
うまくいっているときの作家さんと編集者さんの関係だと思うんです。
その意味で、今回はいい関係になれたということなんですね。

 

社長が訊くゼノブレイド

https://www.nintendo.co.jp/wii/interview/sx4j/vol3/index3.html

そのぴったりさがあるから、キャラクターに命があるように感じられる。それも今作の魅力だったのだと、リメイク版をやってみて再び思った。

f:id:KEN_GAMER:20200731111613j:plain

あと、リメイク版をプレイしてみて感動したのが、表情の描き方。本当にすごかった。原作はハード性能上の制約があって表情が細部まで描写されなかった(そんな状況であれだけの没入感を出したのだからこのゲームのシナリオの出来は恐ろしい)のだけれど、今作はそこがカバーされてる。そこが何よりもうれしかった。

喜怒哀楽はもちろんなのだけれど、それだけじゃない複雑な表情とかの描き方や、目線とかで一種の表現が確立していた。その表現もあって、「こいつら・・・生きてる!!」と思うくらいに、キャラクターに人間味があった。戦闘シーンもそれ以外のシーンも、シュルクたちがより生き生きと動いていて、プレイしていてなんだか嬉しくなった。改めてキャラクターのよさが実感できて、彼らに惚れ直してしまった。

f:id:KEN_GAMER:20200731111552j:plain

そしてその中でもう一度描かれる「未来を自らの手で選ぶ」ストーリーは、何度見てもすごい出来だなと感じる。

自らの大切なものを失った主人公たちが、やがてそれを乗り越えて、支えあいながら望む未来をつかみ取ろうとするという話の流れは王道だけれども、丁寧に織り込まれていて、それがとてもこのストーリーを良くしている。普通ならここまでやらないだろ、と思ってしまうような部分までキャラクターの心理描写・演出が行き届いていて、それがストーリーをより深くしている。

そんな一方で疾走感や、展開のうねりがでてくる時があり、それもまた面白い。謎や伏線を小出しにしつつ、それが急に出てきて「うわ~」っていう気持ちになる、そういう面白さもこのゲームは見せてくれる。

その結果、丁寧で王道を行くものでありながらも、時に大胆でダイナミックな顔を見せる、「真面目君に見えて実は中身はけっこうファンキー」なストーリーが出来上がっている。とても俺はこれが好き。

f:id:KEN_GAMER:20200731111428j:plain

リメイク発表時から思っていたけれど、ゼノブレイドがたったの10年でリメイクされたのは、このゲームが多くの人に愛されるような丁寧さと奥深さを持っていたからなのだと思う。

このゲームが作ったシリーズ自体の基礎は、これからも受け継がれていくのだろうし、いろんな形で変化しながら続いていくのだろう。それが怖くもあるけれど、それ以上に楽しみだ。

ゼノブレ3も気長に待っていようと思う。今はただ、もう一度ゼノブレイドを楽しませてくれたことに感謝したい。10周年おめでとう、そしてありがとう。

youtu.be